ゴオウの薬理実験
1. 血圧降下作用: ゴオウを自然発生高血及び腎性高血圧シロネズミに投与したところ、ゴオウ中のコール酸カルシウムにより比較的協力な血圧降下作用を有する結果を得た。
2. 心臓運動増強: 摘出モルモットにゴオウを投与したところ、心臓運動増強作用が認められた。
3. 心臓冠血管収縮: 摘出モルモット心臓冠血管にゴオウを投与したところ、比較的強い収縮を認めた。
4. 解熱作用: シロネズミにゴオウを腹腔内投与し、直腸体温を経時的に測定したところ、発熱抑制作用が認められた。
5. 利胆作用: シロネズミにゴオウを経口投与し、胆汁の分泌量におよぼす影響を調べたところデヒドロコール酸に匹敵する胆汁分泌中量増強作用が認められた。
結 論
牛黄「ゴオウ」の薬理作用:鎮静作用、解熱作用、解毒・利胆作用、高血圧に伴う症状の治療作用、強心作用
ゴオウの参考文献
高橋京子、et al.: 動物生薬”牛黄(Bezoar Bovis)”の培養心筋細胞に対する効果。
日本薬学会 2Ag 4-2 (1987)
木村正康、et al.: 和漢薬作用に関する薬学基礎研究(第2報) 漢薬牛黄の産地別各種および抽出分画の
鎮痙作用について。 薬誌 86, 366-372 (1966)
木村正康、et al.: 和漢薬作用に関する薬学基礎研究(第3報) 漢薬牛黄の水溶性分画における平滑筋
収縮性物質の薬理学的態度について。 薬誌 86, 877-882 (1966)
木村正康、et al.: 和漢薬作用に関する薬学基礎研究(第4報) 漢薬牛黄の含有成分間の胆汁排出作用に
おける協力効果について (平滑筋機能に関する研究)。 薬誌 87, 550-553 (1967)
木村正康、et al.: 和漢薬作用に関する薬が黄基礎研究(第7報) 民間漢方剤”六神丸”構成 生薬の心臓機能
における複合作用について。 薬誌 88, 125-129 (1968)
木村正康、et al.: 和漢薬作用に関する薬学基礎研究(第9報) 民間漢方剤”六神丸”構成生薬の抗炎症効果
における複合作用について。 薬誌 88, 135-139 (1968)
木村正康、et al.: ゴオウ(牛黄)の薬効と新成分。 代謝10 臨時増刊号 和漢薬 287-294 (1973)
岩城利一郎、et al.: 循環器および呼吸器系に作用する薬物の研究(1報)・牛黄およびコール酸系化合物に
ついて。 薬誌 60, 529-537 (1964)
岩城利一郎、et al.: 牛黄およびコール酸カルシウムの高血圧動物に対する影響と一般薬理作用について。
薬誌 85, 899-902 (1965)
水野 康、et al.: うっ血心不全に対する救心の効果について。 基礎と臨床 4, 267-286 (1978)
佐藤 博、et al.: 蟾酥、麝香および牛黄の循環系に対する作用。 応用薬理 33 817-824 (1987)
金 恩源、et al.: 天然牛黄およびその主成分製剤の流行性日本脳炎(encephalitis B)virusの実験感染
に対する影響。 Pharma Medica 新春増刊号 121-123 (1986)
久保道徳、et al.: 動物生薬の薬理的研究(第1報) 蟾酥、牛黄、麝香について(その1)・実験的血栓症
誘発による虚血性心臓障害に対する作用。 薬誌 38, 59-64 (1984)
日本防菌防黴学会: 21世紀の生薬・漢方製剤、 123 株式会社繊維社企画出版、 大阪 (1999)
日本公定書協会: 第十三改正日本薬局方解説書、 D-351, 廣川書店、 東京 (1996)